6月16日(木) 第三回学生フォーラム報告

 今回のゲストはニコニコした笑顔と不精髭が特徴の大学教授らしからぬ教授。六甲道の立ち飲み屋にいそうな雰囲気の松岡広路先生でした。発達科学部で教育学を教え、主な研究テーマはESD (持続可能な開発のための教育)、研究のキーワードは「多元的人間の創成―持続可能な社会づくりのリーダーはどう生まれるのか」という熱い思想の持ち主でした。

 阪神大震災時のボランティアの経験を踏まえたうえで、今回の東北の震災にも学生を連れてボランティア活動されています。実際5月にボランティアに行かれた際は、被災直後ということもあり、緊張感を維持したまま活動していたとのこと。現地の人が笑っていてもボランティアは笑うべきではない、意思疎通した人間が横で笑うのと、見ず知らずの人間がそばで笑っているのでは大きく違うとのこと。その後築いていくべき信頼関係も見据えたうえでの行動はさすがだと感じました。もちろん、ボランティア活動の数日間、組織としてのやり方、活動内容に意見、異論、齟齬をきたすこともあったらしいですが、それをうやむやにせず夜のミーティングで徹底的に話し合うところなどさすが教育者としての厚みが違うと感じた。これからの世の中はボラんティア社会に変えていかなきゃいけないんだと語られていました。ボランティアというのは震災の直後の活動内容のことではなく、社会のありかたのこと、ひとりひとりの世の中に対する態度のことだと教えられた気がしました。

 シンポジウムの後は質問会も設けられましたが、一人一人の311以後の心境変化や実際の活動の仕方を聞くという展開になりました。ひとりひとりの言葉から何かを引き出そうとする、松岡先生の姿が印象的でした。ボランティアの理想像を押しつけるのではなく、あなたはこういう人間なんだねというあたりまえの部分を大切にして話をされる松岡先生。会話の中で個人個人がこれだったらできるかもしれないという、これからのそれぞれのボランティアを考えるヒントをたくさんもらえた気がしました。最後に「神戸は16年前阪神大震災を経験していながら、原発問題で揺れる関東と違い、落ち着いて東北支援できる場所。世界と東北をつなぐポートになれる」とまさに神戸でできることがたくさんあるんだと教えてくれたような気がしました。From_KOBEと松岡先生が協力して支援活動できればと思います。

2011/06/20  松本 直哉

 

 



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